Alex Moulton Bicycles Report

 

2010年はモールトン博士の生誕90周年の年ということで、随分前になりますが2007年2月にモールトン博士に会いに行った時のお話をしたいと思います。  アレックス・モールトン・バイシクル社は、ロンドンから電車で2時間ほどのイギリス南西部ブラッドフォード・オン・エイボンにあります。17世紀の建物も数多く残る閑静な田舎町で、街の中心に水量の豊富なエイボン川が流れ、小高い丘に並ぶ建物のほとんどがクリーム色のBath Stone(石灰石)で建てられているのが印象的でした。アレックス・モールトン自転車はこんな自然にあふれたのどかな場所で作られていました。

それではMoku渡英日記のはじまりはじまり…。

〜 Mokuの渡英日記 1 〜

◀いよいよモールトン博士とご対面です。博士は実際にこのお城で生活されているのですが、お城の裏にある入り口からお邪魔しました。写真はモールトン城の裏手です。暖かい笑顔で迎えて下さった博士との挨拶を終え、一旦シャンパンの用意で退席された後、優しい表情で「風邪気味なのであまり私に近づかない方が良いですよ。」と胸に手を当てて随分と離れたところから気遣いの言葉を掛けらました。 その時、なんて素敵な紳士なんだろう!と同時に、体調崩されているときにホントスミマセン…そんな気持ちで博士との対談がはじまりました。

◀お土産タイム。京都の庭園を英語で解説した本をプレゼントすると、眼鏡を取り出して「ココ知ってますよ、ココも知ってます。あなた達の住んでいる地域はどこですか?」などなど、この本で話が膨らむとは思っていなかったので、なんだか嬉しかったです。

◀次に豆扇をプレゼント。「素晴らしい」と座ってしばらく眺められていました。

◀Mokuのホームページを出力したものや自転車専門誌以外に取り上げられた掲載誌など、簡単に英訳したファイルを渡すと一つ一つゆっくりと読まれていました。

▶Moku2+4の『2+4』の意味(自転車2輪と自動車4輪の共生)を説明すると「ADO16のトランクにシリーズ1を積んでいる写真がありますよ。同じですね。」と言って見せてもらいました。「差し上げますよ。サインしましょうか?お二人の名前は…」と名刺を見ながらサインしてるところをパチリ。これが↓その時にいただいた写真。

▶お土産タイムも一段落して、モールトン自転車の話に。お土産タイムの時とは違う真剣な表情で丁寧に答えて下さいました。

◀▲ソファに移って、Mokuのファイルを見ながら「これはいつ頃?」、掲載誌を見て「このMINIはね…」などなど、一つ一つにコメントを付け加えながら読まれていました。

▲▶そのレポートについて、ショーン氏を交えて話をしました。

▶博士のサインをもらおうと日本から持ってきたMINIとモールトン自転車のラバーコーンを渡すと、どこにサインを書こうかしばらく考えて、「あとできちんと書いて送るので預かってもいいですか」と聞かれ、送られてきたのがコレ↓

▶MINIの試乗後、再び博士と会談。

サスペンションについて話をした後、以前から感じていたスムーサ・ライドのインプレッションと、コイルスプリングと比較した時のラバーコーンの長所を日本でレポートにしていたので博士に渡しました。するとすぐに書斎のデスクへ向かい読み終えて戻ってくると「すべてその通りだ」と頷いて話が始まりました。

◀2007年2月朝、ブラッドフォード・オン・エイボン駅に到着。ショーン・モールトン氏が駅まで迎えにきてくれました。その時「博士はここ数日体調を崩されているから限られた時間しか対応できないかもしれない」と聞かされ、博士を心配しつつ、車で駅から5分ほどのモールトン社に到着。

▲着いた早々、小雨が降り始めたので軽い挨拶を済ませて、モールトン博士がいつも走っている敷地内のツーリングコースを案内してもらいました。(博士はほぼ毎日、このコースを自転車で走られているそうです。) 走り始めて少しすると突然視界が開けて、看板のある場所からは全く姿が見えなかったモールトン城 “The Hall” が現れました。写真では何度も見ていましたが、建っている場所も雰囲気もイメージしていたもの違って、ひっそりと佇んでいてここだけ特別な空気が流れているようでした。

◀別角度からのモールトン城。キレイに手入れされた庭園も印象的でした。

▲モールトン博士に会う前にファクトリーを案内してもらいました。噂通りこじんまり(?!)した工場で、この時もメインファクトリーで作業されていたのは4人だけでした。離れにも工場があって、専属の担当者の元、 誰がこんな仕様でツーリングするんだ?っていうぐらい、前に後ろにもの凄い荷物を積んで延々と悪路を走り続ける耐久テストを行っていたり、モールトン自転車のオリジナルパーツを製造していたりと、フレーム以外のものも職人の手で一つ一つ製造されていることがよく分かりました。

◀▼フロントフォークを持ったこちらの方は主にフレームを作られていて、忙しい中、製造行程についてショーン氏と一緒に丁寧に説明してくださいました。

◀こちらの方も主にフレームを作られていますが、この時はウィッシュボーンステムを作られていました。しばらくして博士との面会時間がきたので、ファクトリーを後にしました。

◀あっという間に日が暮れ始め、お別れの時がやってきました。最後に博士のサイズに合わせて製作したMoku刻印入り特製チタンウィッシュボーンステムをプレゼントしました。かなり驚かれていましたが、記念撮影のときに博士から「ウィッシュボーンの三つ又をそれぞれ持って」と言われて意味が分からず持つと「3者が繋がっているという意味ですよ」と言われ、とても暖かい気持ちになりました。

◀モールトン社の門を過ぎてしばらく行くとこの看板に出会います。とても広い敷地ですが、モールトン城やファクトリー、事務所など建物はこの辺りに固まっていました。

その後、別件で博士は退席され、ショーン氏と昼食を済ませた後、 MINIに乗ったり、もう一度ファクトリーを見学したり、職人さんと話をしたり、歴代のモールトンが展示されている美術館や庭園など案内してもらいました。

▲手で隠れてますが、こちらも三人でウィッシュボーンを持っています。

▶メインファクトリーの外観。モールトン自転車が壁面に彫られていて、とても素敵な建物でした。

◀博士の趣味がカヌーというのは有名な話ですが、お城から少し離れた場所に専用のカヌー乗り場がありました。気分転換に楽しまれているそうです。

▶カヌー乗り場から右を向くとこの風景。

▶左を向くとこの風景に。エイボン川の主流へと合流します。

◀庭園内には落ち葉に囲まれたこんな石の階段があったり。

▲階段を上がると、目の前には私たちが乗ってきた電車の線路があって、その向こうにエイボン川が流れていたり。

◀はたまた素敵な休憩所(?!)があったり。

▲作業中の笑顔がステキだったり。

◀帰宅前の職人さんと記念撮影をしてみたり。と有意義な時間を過ごすことができました。モールトン博士、ショーン氏そしてアレックス・モールトン・バイシクル社の皆さん、親切丁寧に対応してくださってありがとうございました。

▶カメラ目線がステキだったり。

アレックス・モールトン・バイシクル社 訪問編

番外編

◀街の中心部を流れるエイボン川。

正しくホイールアライメント調整されたMINIはとにかく「全てがスムーズ」でした。このサスペンションは車高が少し高めにセッティングされてるにも関わらず、車体の挙動が安定していて、それぞれのホイールが良く動き、凹凸をなめからに吸収している感じもよく分かりました。車であれ自転車であれ、アライメント調整がサスペンションの動きに大きく関係しているのだと改めて体感することができて楽しかったです。

それと、このMINIのエンジンは後期型のインジェクションをチューニングしたもので英国のトップチューナー「リチャード・ロングマン」がチューンしたステージ1を搭載していましたが、エンジン回転の吹け上がりも軽く、メカニカル音もとても静かで、内部もなめらかに動いているのがよく伝わってきました。表向きはノーマルなMINIに見えますが、実はリチャード・ロングマンのエンジンで、博士のスムーサ・ライドが搭載されてるっていう…無駄のないセッテイングがそのまま速さ、軽さに繋がっているマシンでした。こういうの大好きです。

◀モールトン博士が考案したラバーサスペンション『Smootha Ride / スムーサ・ライド』を搭載した博士所有のMINIに乗せてもらいました。私もこのサスペンションが好きで所有しているMINIにも付けていますが、博士の考えるラバーサスペンションについて、もっと深く知りたくて日本から度々尋ねていました。すると博士から「スムーサ・ライドは、ホイールアライメントを正しく調整してこそ、より効果を感じる事ができるのでこちらに来たときにアライメント調整されたスムーサ・ライドに乗ってみなさい」ということで、乗せてもらいました。下がその時の感想です。

◀裏面に博士のサインが入っています。

Special Thanks!

Dr.Alex Moulton

Shaun Moulton

Moulton Bicycle Company

Hal Udel & Emi

Takahisa Nagata,Ayane Muroya

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