5.フロントフォーク下準備&アライメント

14〜15)

切断面の内側にもバリがあり、そのままではステムが入りにくいので研磨します。


16)

フォークコラムの内部も手で触り、表面が荒い場合は研磨します。(スプリングをよりスムーズに動かすため)


17)

次にフォークエンドの点検・修正です。フォーク足とエンドを交互に少しづつ修正していきます。サブフォークも同様に点検・修正を行います。

施行前

施行後

1〜2)

フォーククラウン(付け根)の面が荒く、ベアリングのパーツがきちんと取り付けできないため、工具を使ってフェース面を整えます。


3)

フェース面を整えた後。


4)

BBシェルと同様に、ヘッドチューブも精度を上げるためにリマー&フェースカットを施します。


5)

ヘッドベアリングの一部(ワン部分)を圧入します。MoultonはロードやMTBに比べてヘッドチューブが長く、既存ツールでは取り付けができないため、Moulton専用に製作したスペシャルツールを使用します。


6〜7)

ヘッドベアリングを装着する際、シマノもカンパニョーロもワッシャーにツバがあり、Moultonのフォークには取り付けができないためツバを削ります。


8)

さらに、ワッシャーの面精度を出します。

※ワンポイント:肉眼では見えにくい細かな凹凸でも面精度を出す事によってしっかりと締まった感覚が手に伝わり緩みにくくなります。


9〜11)

通常は、[画像9]の位置でヘッドベアリングを取り付けますが、Moultonのフレームは[画像10]のようにフォークが長い場合が多いため、フォークコラムの余計な部分をカットします。

  1

3

5

7

9

11

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2

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6

8

10

12

14

17

12〜13)

カットしただけでは切断面が鋭いままなので、上面をヤスリで整え、さらにナットの入りを良くするために切断面の外側を研磨します。

 6.ヘッドベアリング&ハンドルステム取付け

1〜2)

新品のヘッドベアリングは、グリスの量が不充分なので一度洗浄してグリスを落とします。


3)

新たにグリスをたっぷりと塗り込みます。


4〜5)

次に、Moulton専用のウィッシュボーンステムを取り付けますが、ステムポジション(ステムを取り付ける高さ)によっては、取付ボルトがフォーク内のスプリングストッパーに干渉する場合があり、ステムの固定力が不足するため少し短く加工します。


6)

ステム取付ボルトをカットした後、さらに加工します。

ウィッシュボーンステムは、取付ボルトのネジ山がはじめから浅く、ボルトを軽く締めただけでも画像の通りネジ山がほとんど残りません。


7)

そのままでは、ボルトをきちんと締めたつもりでも締まっていない可能性があるため、確実に締まるようにボルトのネジ山を延長します。


8)ステム取付ボルトのネジ山を延長した後。

1

3

2

加工前

加工後

スプリングストッパー

ステム取付ボルト

4

6

8

5

7

 7.コンポーネント組み付け

隙間

加工後

加工前

加工後

加工前

17

3

5

8

10

12

15

20

19

18

4

7

9

11

14

16

21

1〜2)

下準備したフレームにチューンナップしたフロントフォークを取り付け、再度フレームのアライメントを点検します。

先程は、フォークを取り付けていない状態でフレームアライメントを行いましたが、フォークを取り付けるとほとんどの場合でアライメントが変化するため再度この作業を行います。これでようやくフレームの下準備が整いました。


3〜4)

AMシリーズはTSRに比べてリアエンドの厚みが薄く、ハブ軸の方が長いため、ホイールをフレームにセットするとハブ軸がフレームから突き出ています。このままではナットが軸に当たって、しっかりとホイールを固定する事ができません。


5〜6)

そこで、ハブ軸をリアエンドと同じ厚みになるように加工し、隙間無くホイールを固定します。


7)

パーツメーカーにもよりますが、ハブ軸を加工してもまだ固定力が弱い場合は、ハブナットの内側を0.数ミリ深く加工します。


8〜9)

車輪を固定しているクイックシャフトも、ナット部分から突き出しているので数ミリカットします。


10〜12)

通常AMシリーズのフレームは、ロングアーチのブレーキを取り付けるように設計されていますが、ショートリーチタイプを取り付ける場合、ブレーキ本体とブレーキ取付ボルトが干渉するためボルト頭を削ります。(見た目も意識して斜めに加工します)


13〜14)

さらにブレーキナットも加工します。ブレーキは操作時に大きな力が加わるため、取付ボルトのネジ山が少しでも多くナットに掛かるように、数種類あるブレーキナットから近いサイズのものを選び、無ければナットの長さを加工します。


15)

リアディレイラー台座は、ほとんどがはじめから歪んでいます。変速性能が劣るため工具で修正します。


16)

チェーン専用のオイルを塗るため、元のチェーンオイルを一度洗浄し、再度注油します。


17)

フェースカット後のBBシェル幅を計り、 メーカー規定範囲内に収まるようにBBを取り付けますが、 必要であれば製作しているシムを入れます。


18)

ワイヤーケーブルを取り付ける前に、股下寸法などを基準にして測定器を使い、サドル高さ・前後位置、ハンドル高さ、ブレーキレバー〜サドルまでの距離などをセッティングし、データーとして保存しておきます。

※ワンポイント:自転車のフィッティングはとても大切です。体に合わせてセッティングされた自転車は乗りやすく、体力の消耗度合いも変わってきます。また、ワイヤーケーブルの長さはハンドリングにも影響するため、弛みすぎず、短すぎないように測定器できちんと測ります。


19)

ステムの角度によっては、アウターケーブルがステムに干渉して削れる場合があるため、チューブを付けてアウターワイヤーを保護します。


20〜21)

フレームの通し穴とインナーケーブルが擦れるとブレーキとシフトの引きが重くなるため、樹脂のライナーを入れます。


22)

インナーケーブルのエンドは、エンドキャップを使わずに全てハンダ付けをします。

1

2

既製品

加工後

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Alex Moulton Bicycle AMシリーズは、最上級モデルで200万円を超え、

その他ロードバイクなど様々な自転車を含めても最高級の部類に入る車両です。

ここで紹介しています一つ一つの組み立て方法や加工は、

アフターマーケットで購買欲がそそられるような趣味要素の高いパーツに比べ地味ですが、

一つ一つの積み重ねによって最高のパフォーマンスを引き出すことが出来ると考えています

ミニクーパーで培ったメカニック経験を生かし、

エンジンのチューニングやオーバーホールでの繊細な感覚、物作りの意識を常に持って、

高級車両にふさわしい、最高のパフォーマンスを体感していただけるよう、

一台一台丁寧に組み上げお渡ししています。

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フォーク・アライメントの詳しい作業内容はこちら▶▶▶alignment_fork_a.html

18)

フォークの下準備がすべて終われば組み付けに入ります。スプリングに、ネジ部に、それぞれ材質、性質に合わせたグリスを使い分けて塗ります。

SetUp Topsetup.html
Alex Moulton AM 17inch Series

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