AMシリーズは完成車のTSRと違って、一からフレームを組み立てていくため、組み立て方法、そして作業時間も異なります。専用工具を使っていても、単に組むだけではMoultonの良さを体感することはできません。Moultonのような繊細なバイクは入念な整備が施されてこそ、その確かな走りを実現することができます。また、ウィークポイントを把握しながら組み立てていくことで、より完成度の高いMoultonに仕上がります。


Mokuでは、より長く、より快適なコンディションで楽しんでいただくために、上質のグリスを使用し、専用工具を製作するなど、作業の一部ではありますが以下のような手順で、一台一台丁寧に組み上げお渡ししています。

ヘッドベアリングが正確に圧入されていないとは、ヘッドチューブのフェースカットをしていないということです。フェースカットをしていないと、切りっぱなしのパイプとほとんど一緒のようなものなので、切り口が真っすぐでない、平行でないということになります。平行でないパイプにヘッドベアリングを組み付けても意味がありません。斜めに付いたヘッドベアリングは平行にまっすぐに動きません。当然ハンドルの動きも悪く、鈍くなります。納品されたそのままのフォークAssyをぐるぐると回したぐらいではフェースカットの有無やベアリングの回り具合、回りの固さまで把握することはできませんし、いくら高性能なパーツを組み付けてもここの部分はごまかせません。

Moultonのサスペンションシステム『フレクシター』は、AM20inchシリーズの要といえる部分です。せっかく素晴らしい機構・構造をしているのに要の部分を疎かにしてしまってはMoultonの魅力も半減してしまいます。でも組まれたものをわざわざ分解するのって無駄だなといつも思ってしまいます。だからフレームだけじゃなくて、フロントフォークもバラした状態で納品してもらいたいというのが本音です…。

3.下準備_フレーム&フォークアライメント
4.パーツ取付けはこちら▶▶▶setup_am20_2.html
Alex Moulton AM 20inch Series
SetUp Topsetup.html
HomeMokuTune.html

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 1.下準備_フレーム

3〜4)納品時の状態では、AMシリーズであってもヘッドチューブのフェースカットが施されていないため、予め組んであったヘッドワンをフレームから取り外してフェースカット作業を行います。

5)〜6)Moultonのステンレスフレームは全て航空機用のステンレスを採用しているので、素材が固いためフェースカットをするとどうしてもエッジが出来てしまいます。そのエッジをオイルストーンと紙ヤスリで整えます。

10)フォークコラムを外すと、いろんな箇所で塗装が剥げいたのでタッチアップします。(硬いところに強引にヘッドベアリングの下玉押しを入れるとこういう事が起こります)

11)ヘッドの下玉押し面をフェースカットしますが、New SeriesやSingle Pylonのフロントフォークは構造が複雑なため市販の工具では作業ができないためオリジナルで製作した工具を使って作業します。(Double Pylonの場合は、またさらに特殊な構造をしているのでDouble Pylon専用に製作した工具を使用します)

12)フェースカット後。画像10の状態からフェース面が綺麗に整っています。

13)フォークコラムの先端にはネジが切られていますが、ネジ先端部分は切りぱっなしのため、エッジが立っています。

 2.下準備_フロントサスペンション

14)切りっぱなしのエッジを綺麗に整えます。15)Moultonはロードなどに比べてヘッドチューブが長く市販の工具が使えないので、ヘッドワンを圧入する場合もオリジナルで製作した工具で取り付けます。

16〜17)ヘッドベアリングにたっぷりグリスを塗ります。

18〜19)フレクシターの支持アームは、ハンドルを切る(回す)と左画像のようにフレームと干渉する場合があるので少しだけ削ります。これはフレームとフレクシターの隙間がもともと少ないことに加えて、ヘッドチューブをフェースカットした時にヘッドチューブ長がほんの少し短くなるために起こります。個体差があるのでフェースカットをしても問題ないケースもありますが、干渉する場合は加工します。

22)削ったので、フレームとの間に隙間ができました。

1〜2)New SeriesやDouble Pylonに使われているフロントサスペンション『フレクシター』を採用しているモデルについては、17inchモデルと違ってフロントフォークやヘッドベアリングが最初から組まれた状態で納品されますが、ボルト類が歪んで付いていないか、グリスは塗られているかなどに加えて、ヘッドベアリングも正確に圧入されていないことが多いため、予め組まれているフロントフォークも全て分解し、くまなく確認します。

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・・・補足・・・

20〜21)フレームと干渉していた部分を赤く印を付けてそこを削ります。右)加工したことでフレームに干渉することなくハンドルを切る(回す)ことができます。

7)予めボトムブラケットシェル(BBシェル)にはネジ山が立てられていますが精度が悪いため再タッピングします。8)フレームとBBが合わさる部分の精度を上げるため、フェース面を削ります。AMシリーズはBBシェルを削ると基準値より狭くなってしまうことが多いため注意深く削ります。

9)ボトムブラケットハンガーを削ると、幅が少し狭くなるため規定範囲より狭くならないように確認します。

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(c) 2011 Moku2+4

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