5.フレーム組み立て

1)グリスの質と量が充分でないため、ヘッドベアリングを洗浄して元のグリスを落とし、新たに良質のグリスを塗ります。

2)ボトムブラケットハンガーにグリスを塗ります。

※ワンポイント:トルクのかかるボルトやナットには、適したグリスを塗ってネジのかじりを防ぎます。

3)ボトムブラケット(画像左)やフロントフォークコラムなど錆を防ぐためグリスを塗ります。

4)TSRはリアエンドの形状上、新車でも変速レスポンスが悪いためTSR用に製作している月形のスペーサーを取付け、変速性能を向上させます。

5)リアディレイラー台座は、ほとんどがはじめから歪んでいて変速性能が劣るため工具で修正します。

6)車輪を固定しているクイックシャフトが若干ナット部分から突き出しているので数ミリカットします。

7)リアブレーキ取付ナットに緩み止め剤を塗ります。

8)フロントブレーキにはリアブレーキのように回り止めワッシャーが入っていません。TSRは塗装皮膜が分厚く塗装表面が滑りやすいためフロントにも回り止めワッシャーを取付けます。

9)チェーンも一度洗浄して元のオイルを落とし、べたつかないドライタイプのチェーン潤滑剤を塗ります。

10)はじめに装着されているチェーンは少し長いため、適正な長さにカットします。

13)シートポストシムも錆で固着する前にグリスを塗っておきます。

14)はじめに装着されているインナーワイヤーは、品質が劣るため、信頼性の高いシマノのステンレス製に交換します。画像下がはじめに装着されていたワイヤーケーブル等。上がセットアップ時に交換するパーツの一部。

触れ取り台にホイールをセットし、ホイールの縦触れ、横触れ、スポークのテンションをそれぞれ確認しながら、さらに一方に偏らないようホイールのセンターを確認して調整していきます。また、はじめに巻いてあるリムテープでは耐久性に欠け、時にはパンクしてしまう恐れがあるため、ズレない粘着タイプのハイプレッシャー用リムテープに巻き変えます。

 4.ホイール触れ取り、スポークテンション調整

 3.リアサスペンションのチューニング

1)まず、メインフレームとリアフォークを繋ぎ止めているピボットブッシュ(ドライベアリング)の動きとガタを確認します。新車の状態では気がつきにくいのですが必ずガタはあります。これについては次の画像で説明していますが、メインフレームに圧入しているブッシュに比べて、スピンドル(回転軸)が長いことが原因です。このままではモールトン独特のスムーズなリアサスペンションの動きを体感することはできません。より快適でより走る自転車を組み上げるためには、リアフォークの動きとガタを確認することは必要不可欠なのです。

2〜3)画像の通り、ピボットブッシュの左側を面一に合わせて、その逆を確認するとスピンドルがブッシュより長いのが分かります。リアサスペンションにきちんとした仕事をさせるためには、左右に動くこのガタをとる必要があります。

4〜5)ブッシュ幅とスピンドルの長さを計測します。

6)次にスピンドルを旋盤で加工しますが、ブッシュとスピンドルを全く同じ長さにしてしまうとリアフォークの動きが硬くなり過ぎるため、0.0数mmスピンドルを長めに加工します。決してピボットボルトの締め具合でリアフォークの動きを調整してはいけません。

7)加工後、グリスを塗ってブッシュに取付けます。

8〜9)リアフォーク取付ナットに緩み止め剤を塗り、モールトン専用の定盤にフレームを載せてフレームのセンター(芯)を点検・修正します。ここでスピンドルのガタがあるとフレームのセンターを出すことはできません。

※ワンポイント:モールトンのほとんどは、このフレームセンター(芯)が出ていません。この作業をする事で、より快適でより走るモールトンに変わるため必ず行います。

スピンドル

ブッシュ

左側

右側

Alex Moulton Bicycleは、TSRシリーズでも25万円前後から、

その上のAMシリーズとなると最上級モデルで200万円を超え、

その他ロードバイクなど様々な自転車を含めても最高級の部類に入る車両です。

ここで紹介しています一つ一つの組み立て方法や加工は、

アフターマーケットで購買欲がそそられるような趣味要素の高いパーツに比べ地味ですが、

一つ一つの積み重ねによって最高のパフォーマンスを引き出すことが出来ると考えています

ミニクーパーで培ったメカニック経験を生かし、

エンジンのチューニングやオーバーホールでの繊細な感覚、物作りの意識を常に持って、

高級車両にふさわしい、最高のパフォーマンスを体感していただけるよう、

一台一台丁寧に組み上げお渡ししています。

11)新車時は、ブレーキワイヤーが長めに設定されているため、ハンドリングに影響が出ないよう適正な長さにカットします。

12)はじめに装着されているエンドキャップは、水滴や泥が混入しやすいため、シマノ製のエンドキャップに交換し、さらにブレーキ&シフトワイヤーのグリスもそれぞれ使い分けて、長期間ワイヤーの引きを安定させることを考えています。

フレーム・アライメントの詳しい作業内容はこちら▶▶▶alignment_frame_a.html
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